平安時代にもっとも愛好されたのは、
中世になると、
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漢詩の受容
26 白氏文集
- 71巻 (唐)白居易撰 那波道円 元和4(1618)刊 15冊 28.1×19.6cm <WA7-76>
古活字版。唐の詩人白居易(
27 〔白氏〕文集抄
- 存上巻 (唐)白居易撰 建長2(1250)阿忍写 1冊 26.4×16.5cm <WA15-8>
『白氏文集』巻1、2、5からそれぞれ25首、29首、8首の詩を抄出したもの(一部の詩は部分のみ)。巻頭書名は「文集抄上」。句読点、訓点等を施し、欄外、行間に注を書き入れる。書写のための
- 押界
- へらなどで罫線を空押ししたもの
28 増註唐賢絶句三体詩法
- 3巻 (宋)
周弼 撰 (元)円至註 (元)裴庾 増註 〔室町時代末期〕刊 3冊(合1冊) 27.7×18.2cm <WA6-20>
唐詩の選集。167名の詩494首を収録。書名は巻1巻頭による。通称は「三体詩」。七言絶句、七言律詩、五言律詩の三体の詩を収録することによる。南宋の淳祐10年(1250)成立。日本には南北朝時代初め頃に伝わり、五山文学に大きな影響を与えた。室町時代には数種の版が刊行され、注釈も多い。江戸時代中期以後流行した『唐詩選』が盛唐詩重視の選定であるのと異なり、中唐、晩唐の詩を中心に収録する。展示本はやや裁断されており、巻1(七言絶句)には藍による訓点、朱引き、欄外の墨書書入れがおびただしい。巻2、3には藍の訓点のみ。
29 集千家註分類杜工部詩
- 25巻 (唐)杜甫撰 (宋)徐居仁輯 (宋)黄鶴補註 京都 観喜 永和2(1376)刊 10冊 25.5×17.2cm <WA6-29>
五山版。唐の詩人
陳孟栄の名(巻1) | 兪良甫の名(巻2) |
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五山版と中世の出版
平安時代末頃から、奈良興福寺など一部の寺院では経典等が印刷されていたが、ほとんどの書物は写本であった。しかし、鎌倉時代中期から室町時代末期にかけ、京都・鎌倉の五山を中心とした禅宗関係者によりかなりの書物が刊行されるようになった。これらを「五山版」という。最盛期は南北朝時代で、臨川寺、天竜寺などが主に出版に携わった。刊行された書物は中国、日本の禅僧の語録や詩集が主だが、仏書以外の漢籍にも及んだ。版式は宋・元・明・朝鮮版の覆刻、模倣が多い(29)。
室町時代には五山以外にも、堺の阿佐井野氏(24)や周防の大名大内氏など、出版活動は各地に広まり、医書、辞書等の実用書も刊行されるようになった。これらもほとんどは漢籍で、日本人の著作は禅書以外は少ないが、『聚分韻略』(漢詩を作るための辞書)や『御成敗式目』などがある。