古活字版。下村本。『平家物語』には多くの異本があり、普通は語り本系(平家琵琶の伴奏で語られた詞章)と読み本系(読み物として編集)に大別される。一般に流布したのは語り本系で、展示本もその一つ。古活字版の『平家物語』の中でも最初期の刊行といわれる。巻末に「下村時房刊之」とあり、「下村本」と称される。下村時房の経歴は未詳。嵯峨本に似た美麗な活字や
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15 平家物語
- 12巻 下村時房 〔慶長年間(1596-1615)〕刊 12冊 28.2×21.0cm <WA7-255>
16 平家物語
- 20巻 〔江戸時代中期〕写 20冊 28.2×21.3cm <WA21-12>
長門本。読み本系の一本で、語り本系に比べて記事が豊富になっている。長門国
古活字版
わが国には、16世紀末に活字印刷の技法があいついで伝えられた。一つは朝鮮で行われていた技法が文禄・慶長の役によりもたらされたもの、もう一つは宣教師により伝えられた西洋式の技法である。記録によれば、日本最初の活字印刷本は文禄2年(1593)の後陽成天皇勅版『古文孝経』だが、現存しない。慶長・元和年間(1596-1624)には、多くの書物が活字で印刷されるようになる。これらを「古活字版」と総称する。古活字版ではじめて出版された古典は数多い。
古活字版は、朝廷、幕府、寺院、篤志家等による、おそらくはごく小部数の刊行で、活字印刷はこの規模に適していた。しかし、寛永(1624-44)頃から書物の需要が増大し、商業出版も盛んになると、そのつど活字を組みなおす必要があり、増刷ができない活字印刷はそれに対応できず、版木で刷る整版印刷が再び主流となった。
17 〔謡本〕
- 〔慶長年間(1596-1615)〕刊 101冊 24.0×18.0cm <WA7-256>
古活字版。嵯峨本。書名は通称による。「光悦謡本」「嵯峨本謡本」などとも呼ばれる。各冊に1番ずつ計101番の観世流謡曲を収録する。
18 〔謡抄〕
- 守清 〔慶長年間(1596-1615)〕刊 10冊 27.0×20.5cm <WA7-208>
古活字版。
19 謡曲三番 高砂、賀茂、邯鄲
- 〔江戸時代中期〕写 1冊 34.5×25.0cm <WA21-19>
書名は見返しに貼付した紙片による。三番の謡曲の詞章を収め、舞台面の彩色挿絵6図を挿入した大型本。料紙は鳥の子紙で金泥の下絵がある。見返しは金切箔散らし。書写年代、節付者は記されていないが、節の三角形の様式や、高砂の老人が箒を持っている構図などは、喜多流の特徴を示し、第3代喜多七太夫宗能(?-1731)の節付本かとされる。
20 能作書
- 世阿弥著 〔室町時代末期〕写 1冊 24.0×15.3cm <WA16-59>