極東委員会が1946(昭和21)年7月2日に採択した「日本の新憲法についての基本原則」には、国務大臣は文民(civilian)、すなわち非軍人でなければならないとする原則が盛り込まれており、8月19日にはマッカーサーもこのことについて吉田首相に申し入れた。しかし日本側は、第9条第2項が軍隊保持を禁じている以上、軍人の存在を前提とした規定を置くのは無意味であると主張し、文民条項は置かないことでGHQ側の了解を得た。
ところが、いわゆる「芦田修正」により、第9条第2項に「前項の目的を達するため」という語句が加えられていたことに極東委員会が注目したため、文民条項問題は再浮上することとなった。すなわち9月21日の会議で、中国代表が、日本が「前項の目的」以外、たとえば「自衛という口実」で、実質的に軍隊をもつ可能性があると指摘した。そのため、検討の結果、同委員会は文民条項の規定を改めて要求することになった(同月25日決定)。同委員会の意向は、ホイットニー民政局長から吉田首相に伝えられ、貴族院における修正により、憲法第66条第2項として文民条項が追加された。
なお、「文民」とは、このとき貴族院小委員会でcivilianの訳語として考案された造語である。
資料名 | Transcript of Twenty-Seventh Meeting of the Far Eastern Commission, Held in Main Conference Room, 2516 Massachusetts Avenue, N.W., Saturday, September 21, 1946 |
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年月日 | September 21, 1946 |
資料番号 | 極東委員会文書 Records of the Far Eastern Commission, 1945-1952 Box No. 7 "FEC Verbatim Transcript of Meetings 26-33 (1946.9.19-1946.11.1)" <Sheet No. FEC(A)0085> |
所蔵 | 国立国会図書館 |
原所蔵 | 米国国立公文書館(RG43) |
注記 | マイクロフィッシュ |
資料名 | Further Policies relating to a New Japanese Constitution (FEC-087/9) |
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年月日 | 25 September 1946 |
資料番号 | 極東委員会文書 Records of the Far Eastern Commission, 1945-1952 Box No. 204 "Policy No.18; Further Policies relating to a New Japanese Constitution (FEC 089/9, 1946.9.25)" <Sheet No. FEC(A)1023> |
所蔵 | 国立国会図書館 |
原所蔵 | 米国国立公文書館(RG43) |
注記 | マイクロフィッシュ |