資料と解説

1-3 国務省における対日政策の形成

米国務省内で戦時中に立案された対日戦後政策の原案。国務省では、戦後政策を検討する特別調査部領土小委員会に1942(昭和17)年8月極東班が編成され、主任にクラーク大学教授で日本専門家のジョージ・ブレイクスリーが就任した。極東班での研究を踏まえ、ブレイクスリーは、早くも翌年7月、米国の基本方針をまとめた「日本の戦後処理に適用すべき一般原則」を起草した。

ブレイクスリーは、これをもとに1944(昭和19)年3月「米国の対日戦後目的」を作成した。それは、2月に陸軍省と海軍省が国務省に対して行った極東地域の占領統治に関する質問に対する回答であった。この案は日本に対して寛大なものであったため、国務省最高レベルの委員会である戦後計画委員会で強く批判されたが、同年5月にまとめられた修正版も、依然として対日宥和的な政策を基調としていた。この案は対日政策を三段階に分け、第一段階では海外領土の剥奪や武装解除などの厳格な占領、第二段階では緊密な監視下での軍国主義の一掃と民主化、そして第三段階では日本の国際社会への復帰が想定されていた。対日占領政策の「原型」ともいうべきこの文書をもとに、のちの「初期対日方針」が作成された。

資料名 Japan: General Principles Applicable to the Post-War Settlement with Japan (T-357)
年月日 July 28, 1943
資料番号 戦後計画関係記録:ノッター文書 Post World War II Foreign Policy Planning, State Department Records of Harley A. Notter, 1939-1945 "600-T-357 Japan: General Principles Applicable to the Post-War Settlement with Japan" <Sheet No. YE5-21 600-T-357>
所蔵 国立国会図書館
原所蔵 米国国立公文書館(RG59)
注記 マイクロフィッシュ
資料名 Japan: The Postwar Objectives of the United States in regard to Japan (PWC108, CAC116)
年月日 March 14, 1944
資料番号 国務省戦後計画委員会文書 State Department Documents of the Post-War Programs Committee, 1944 "PWC108 Japan: The Postwar Objectives of the United States in regard to Japan" <PWC-1 Roll No. 2>
所蔵 国立国会図書館
原所蔵 米国国立公文書館(RG59)
注記 マイクロフィルム
資料名 Japan: The Post-War Objectives of the United States in regard to Japan (PWC108b, CAC116b)
年月日 May 4, 1944
資料番号 国務省戦後計画委員会文書 State Department Documents of the Post-War Programs Committee, 1944 "PWC108 Japan: The Postwar Objectives of the United States in regard to Japan" <PWC-1 Roll No. 2>
所蔵 国立国会図書館
原所蔵 米国国立公文書館(RG59)
注記 マイクロフィルム
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