国立国会図書館の暦コレクション

国立国会図書館デジタルコレクション

「日本の暦」で紹介している大小暦は、すべて当館ホームページ上の「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されています。

[絵暦]

2冊 根岸武香旧蔵 請求記号:貴9-4
明和4~明治26年(1767~1893)の大小暦260枚を貼り込んだもの。菱川宗理、窪俊満、河鍋暁斎らの作品が見える。

[絵暦貼込帳]

1冊 新城文庫 請求記号:寄別13-64
大小暦など104枚を貼り込んだもの。収録されている暦は、寛政4~明治3年(1792~1870)頃のもの。主な絵師は、勝川春潮、葛飾北斎、菱川宗理、歌川国芳、河鍋暁斎。

恵合余見(えごよみ)

2冊 請求記号:WA33-1
天明7年(1787)間の大小暦237枚(1冊)と、明和2年~文化年間(1765~1818)の88枚(1冊)を収録。主な絵師は、歌川豊春、歌川豊国、鳥居清長、司馬江漢、窪俊満、葛飾北斎。

[大小暦張交帖]

1帖 尾嶋氏旧蔵古暦 請求記号:本別15-21
大小暦などの貼込帖。安永3~慶応2年(1774~1866)の76枚を収める。主な絵師は、窪俊満、菱川宗理、歌川広重。

張交帖

1冊 根岸武香旧蔵 請求記号:本別9-24
各種摺物、略暦を貼り混ぜたもの。絵師落合芳幾、河鍋暁斎らの、安永7~明治8年(1778~1875)の大小暦25枚を含む。

暦関連コレクション

暦関連の資料を多く含んでいる当館のコレクションを紹介します。

新城文庫新城新蔵(しんじょうしんぞう 1873~1938)

元京都帝国大学総長新城新蔵の旧蔵書。中国古代天文学、暦法、易占関係を中心とする和古書・漢籍約10,680冊、洋書918点約1,000冊からなる。江戸時代の暦本、明清時代の暦本、易占にかかわる俗信・迷信関係の書物の集書としては屈指の内容を持ち、他に所在を聞かない資料も相当数おさめられている。昭和18年(1943)に購入。

新城は、物理学・科学史研究のかたわら、迷信打破のための啓蒙活動にも大きな力を注いだ。新城文庫の集書の内容は、新城の活動のうちでも、科学史研究、迷信打破への関心の面での活動の軌跡を如実に反映しているものといえる。文庫の内容は具体的には、国立国会図書館編『新城新蔵旧蔵書目録』によって一望することができる。

「国立国会図書館所蔵個人文庫展 その3 日本の暦」(1984)より

尾島碩宥旧蔵古暦尾島碩宥(おじませきゆう 1876~1948)

方鑑家相、天文・暦学の研究家尾島碩宥旧蔵の古暦、90冊45枚13帖6軸。具注暦、仮名暦、伊勢暦・会津暦・江戸暦などの地方暦、絵暦、大小暦、懐中暦、各種の略暦および明治の改暦関係資料からならるが、片仮名版暦、初期の伊勢暦、現存最古の丹生暦、秋田暦、南部絵暦(田山暦、盛岡絵暦)など、めずらしい暦も少なくない。昭和23年(1948)5月に購入。

碩宥が収集した天文・暦法・易占関係の大量の書籍は礫川堂文庫と称されたが、そのほとんどは太平洋戦争の戦災で焼失した。当館が購入したのは被災を免れた暦関係の一部の蔵書で、その内容は『国立国会図書館支部上野図書館和漢書書名目録 古書之部』に「(尾島氏旧蔵)古暦集」として掲載されている。

尾島の天文・暦学に関する造詣がかなりのものであったことは『好古類纂』10-12集(好古社出版部 明治35-36)の暦数部類に掲載された「本邦天文暦道の沿革」と題する文章からうかがえる。中国の暦法の日本伝来より始まり、暦法の変遷、近世の改暦、太陽暦の沿革、時法など、天文・暦学の歴史的変遷を広範に扱ったものである。その末尾には旧暦で用いられた暦注を詳細に解説しており、尾島の関心の一端をのぞかせる。

なお、戦災を免れた尾島の遺稿集が、碩宥の子息の尾島碩心氏により出版されている。『易道随想』(中央公論事業出版 昭和45)がそれで、世界の天文・暦法・易学などを歴史的に扱ったものである。本書も尾島の歴史知識の広さを十分示すものである。本書には、尾島の略歴、残された原稿などの一覧が付されている。

「国立国会図書館所蔵個人文庫展 その3 日本の暦」(1984)より

渡辺敏夫コレクション渡辺敏夫(わたなべとしお 1905~1998)

暦学研究者として知られる渡辺敏夫元東京商船大学名誉教授より寄贈された、約5,000点にのぼる古暦天文学関係研究資料。渡辺の著した『日本の暦』(雄山閣 昭和51)と、約50年にわたる研究生活の成果の集大成ともいうべき『近代日本天文学史』上下巻(恒星社厚生閣 昭和61,62)中に紹介される資料および関係文献として収集された資料のすべてである。

古暦類は、南都暦・伊勢暦など天和2年(1682)から明治6年(1873)の太陽暦改暦後まで総計956点。和漢古書類255種、洋書類250種の中には現在稀少な資料が含まれている。その他の研究資料の数々には専門分野において必要とするすべてが揃い、わけても、全国中を資料を求めて手写あるいは撮影により収集された資料は、渡辺ならでは容易に借覧を許されないものと思われる。渡辺は、かつて"幻の暦?泉州暦"の発見者として新聞紙上に報道されたが、その写真版も含まれている。

真摯な研究者が生涯をかけて収集した資料を当館へと寄贈を思い立ったのは、未だに文献の少ない分野で未発見、未公開資料を求めて歩かれた辛苦の成果を後続の研究者たちへ公開されることを配慮してであり、また貴重な資料の散佚を防ぎ、永久に保存されることを希ってのことである。

渡辺は当館既蔵の新城文庫旧蔵者新城新蔵氏とは師弟の間柄であり、かつてその旧蔵書のすべての整理を手がけ、当館の関係資料も熟知している。

「寄贈二話」(国立国会図書館月報 319号 1987.10)より

堀田両平コレクション堀田両平(ほったりょうへい 1913~1989、本名良平)

堀田両平は、明治12年(1879)に名古屋下長者町で創業された堀田時計店(現株式会社ホッタ)の4代目。堀田の蔵書は『とけいとこよみの錦絵目録』(堀田両平 昭和46)に収録されているが、当館にはその後の収集と併せて約6,000種が寄贈された。そのうちの3分の1は洋書で、世界で50部出版されたと云うモルガンの『時計の目録』の豪華本など入手困難な稀覯書が少なくない。

古暦類は伊勢暦をはじめとし、彩々な広告暦、時と時計を象どる錦絵の可能な限りが収集されて、その質と量は抜きんでている。また、時計史・宝石関係の業界出版物なども含まれており、時計への執心は、単なる趣味の域を脱し事業に対する旺盛な研究心の表われとして資料的にも見事な構成を保っている。

再び収集することが恐らく不可能と思われる資料を寄贈へと踏み切ったことは、堀田の彗眼と度量によるものであろう。

「寄贈二話」(国立国会図書館月報 319号 1987.10)より