ここでは当館の所蔵するインキュナブラあるいはインキュナブラ零葉を画像も併せて展示しています。書誌情報はISTCあるいはGoffに準拠し、GWの番号や使われている活字のTypenrepertorium番号も記載しました。青字になっている活字番号は、さらにそのフォントの画像も見ることができます。排列は地域順(ドイツ、イタリア、フランス、ネーデルランド、イギリス、スペイン、ポルトガル)で、地域内は印刷都市を展示品の年代の一番古いものの順に順序付け、印刷都市毎に印刷年の古い順に並んでいます。
国立国会図書館は現在のところ15点のインキュナブラを所蔵しています。そのうちアリストテレス「問題集」は当館の前身の帝国図書館が大正5年に購入したものです。またボーヴェのヴァンサン・ド・ボーヴェ「自然の鑑」、「ラテン語聖書」、ソリヌス「ポリヒストル」、ザクセンのアルベルト「比の論考」は戦後に購入したものですが、残りはすべて寄贈していただいたものです。ユークリッド「幾何学原論」は高橋精之氏旧蔵のもの、他はすべて原昇氏旧蔵のものです。15点のインキュナブラのうち5点はドイツのもの、10点はイタリアのものです。
ここで展示している零葉 (オリジナル・インキュナブラからの1葉のみ) は1点を除き、ドイツのインキュナブラ学者コンラッド・ヘブラーが編集・解説した3種のインキュナブラ零葉集 (挿図はそのうちの1種) に入っているものです。ヘブラーはインキュナブラ活字の総覧 (1905-24) を作成した人ですが、その仕事から派生して活字フォントのファクシミリ集成 (1907-39) とこの零葉集 (1927-28) が刊行されました。零葉集は3種類作られ、ドイツの零葉集は115枚の零葉が、イタリアの零葉集は120枚の零葉が、その他の西ヨーロッパの零葉集は60枚の零葉が集められています。活字の実例集となるよう編集されており、それぞれの零葉には解説テキストが付けられています。ここではこの零葉集から54枚を選んで紹介いたしますとともに、マーガレット・スティルウェルがオリジナル零葉1枚を付けて刊行したGutenberg and the Catholicon of 1460 (New York, 1936) にある零葉も紹介いたします。
ページや画像が表示されない場合は、従来のサイト(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP))をご覧ください。