開館70周年記念展示「本の玉手箱―国立国会図書館70年の歴史と蔵書―」
開館70周年記念展示「本の玉手箱―国立国会図書館70年の歴史と蔵書―」
昭和21(1946)年から昭和22(1947)年頃までのカラー写真「モージャー氏撮影写真資料」や、日本の国際連合への加盟に関する会議録など、当館が収集しているさまざまなコレクションを織り交ぜながら、本節では戦後復興の時代に焦点を当てて展示する。
戦後の息吹が伝わる
Robert V. Mosier〔撮影〕昭和21-22(1946-1947)年
昭和21(1946)年4月から昭和22(1947)年1月に、GHQの文民スタッフとして日本に滞在したロバート・モージャーが撮影した写真群である。東京、名古屋、広島などの全国各地で撮影した街頭風景や建築物のカラー写真304枚で構成される。平成20(2008)年に米国在住のモージャーの親族から寄贈を受け、当館においてデジタル化作業を行った。平成29(2017)年に国立国会図書館デジタルコレクションで公開した。
マンガ版も話題に
吉野源三郎 著 脇田和 絵 新潮社 昭和24(1949)年【児15-Y-1】
雑誌『世界』(岩波書店)の初代編集長である吉野源三郎が、昭和12(1937)年に執筆した小説である。当初は、小説家の山本有三が編集した「日本少国民文庫」の一冊であり、山本の随筆を加えた共著として出版された。吉野の単著として刊行されたのは、展示資料の版からである。
昭和53(1978)年以来、当館職員が米国に駐在し、日本占領関係資料を複製(当初はマイクロ化、現在はデジタル化)して収集している。この結果、日本国内でこれらの利用が可能になっている。
これらのうち、メリーランド大学図書館プランゲ文庫所蔵資料は、戦後、連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)が占領政策の一環として行った検閲のために、日本で収集した資料である。これらの歴史的価値に注目したゴードン・W・プランゲ(当時GHQ戦史室勤務)が、同大学に移管させた。当館は平成4(1992)年度から同大学との共同事業により複製、収集している。
国連加盟をめざす国会
〔参議院事務局〕〔編〕昭和27(1952)年6月4日【BZ-6-22】
展示箇所は、昭和27(1952)年6月4日の参議院本会議で承認された「国際連合への加盟について承認を求めるの件」である。これを受けて同23日に、日本は国際連合に加盟を申請したが、同年9月18日の国際連合安全保障理事会では、ソ連の拒否権発動により、日本の加盟申請は否決された。
国会会議録検索システムは、昭和22(1947)年の第1回国会以降のすべての本会議や委員会などの会議録データを提供するものである。議事部分について発言者や発言内容などで検索できるほか、画像での全文閲覧が可能である。衆議院・参議院・国立国会図書館の三者が共同で運営している。
日本法令索引は、明治19(1886)年の公文式(こうぶんしき。現在の法令体系の基礎となった勅令)から現在までに制定された法令の改廃経過や、帝国議会及び国会に提出された法案・条約承認案件の審議経過などを収録したものである。国の機関がインターネット上で提供している法令本文の情報にもリンクしている。
ついに国連加盟が実現
1956年12月18日【国連ドキュメント番号 A/PV.623】
当館は、日本に14館ある国際連合寄託図書館の一つとして、国際連合の情報へのアクセスを国会や行政・司法、そして国民に提供するという重要な役割を果たしている。展示箇所は、昭和31(1956)年12月18日の国際連合総会で、日本の国際連合への加盟が承認された際の議事録である。
国連加盟の前提条件
1956年24号(通号866号)1956年12月21日【CR5-2-1】
ソ連の最高国家権力機関で、唯一の立法機関であったソ連最高会議の公報である。展示箇所は、昭和31(1956)年12月12日に発効した日ソ共同宣言である。この宣言では、日ソ戦争状態終了、日本の国連加入へのソ連の支持などが約定され、これによって日本の国際連合加盟が実現した。
B円から米ドルへ
〔琉球政府〕行政主席官房文書課〔編〕〔琉球政府〕行政主席官房 1958年9月15日【CR7-2-1】
米軍統治下の沖縄で、住民側の自治機関であった琉球政府の公報である。展示箇所は、米軍の沖縄統治機関である琉球列島米国民政府(USCAR)が発した布令である。昭和23(1948)年以降、沖縄では米軍発行の特殊通貨(軍票)であるB円が唯一の法定通貨であったが、本布令をもって米ドルが唯一の法定通貨となった。
当館の記念切手発行
〔郵政省〕昭和36(1961)年10月24日【CZ-491-1】
平成12(2000)年12月まで郵政事業を管轄していた郵政省の公報である。展示箇所は、当館新庁舎開館の記念切手を発行する旨の昭和36(1961)年10月24日郵政省告示第725号である。なお、同27日付の公報第2618号には、当館新庁舎開館記念の特殊通信日附印(参考資料として展示した切手に捺されたもの)の使用も告示されている。