江戸時代のコピーライター
(いしづかほうかいし)
1799-1861(寛政11年-文久元年)
通称は鎌倉屋十(重)兵衛。名が豊芥子。別号に集古堂、からしや、豊亭。法号は豊芥信士。
考証家
江戸神田の粉屋に生まれる。
豊芥子は家業のあいだに珍書・古書を収集し、とくに戦記、地誌、芝居、風俗に関する蔵書家として知られている。蔵書を通じて山東京伝、柳亭種彦、河竹黙阿弥ら文人たちと交流をもった。著作には歌舞伎や遊里関係のものがあり、現在でも基本資料として引用されるほど定評がある。
また、当時の文人のあいだで流行していた引札の製作、つまりチラシ広告を作るコピーライターとしても有名だった。
享年63歳。墓所は本所法恩寺内の専念寺にある。
ほかに、別の象を形にした印と「豊芥子戯書屋」がある。
豊芥子の著作の一つである『街談文々集要』は文化文政期の26年間の出来事を集めた記録だが、その中から文化10、11年の2年分を取り出した『豊芥子日記』には、象に関する項が設けられ、日本に来た象の記事や象に関する資料などが取り上げられている。
蔵書印のモチーフに象を使用するほど象好きだったようだ。
「石塚文庫」(いしづかぶんこ):23x22mm
「豊芥〔象〕」(ほうかい〔ぞう〕):25x20mm
[野村]文紹著「肖像 2之巻」[書写者不明]【か-75】