令和3年3月 国立国会図書館 障害者サービス実施計画2021-2024 目次 1 基本的な考え方 3 1.1 趣旨及び目的 3 1.2 計画の対象範囲 3 1.3 計画期間 3 1.4 図書館利用における合理的配慮の提供 3 2 実施事項 3 2.1 視覚障害者等用資料の充実 3 2.1.1 学術文献録音DAISY資料の製作 3 2.1.2 学術文献録音テープの媒体変換 4 2.1.3 視覚障害者等用テキストデータの製作 4 2.1.3.1 当館所蔵学術文献のテキストデータ製作 4 2.1.3.2 数式入り学術文献のテキストデータ製作の検討 4 2.1.3.3 図、グラフ、写真等の視覚情報に対する代替テキストの作成の検討 4 2.1.4 視覚障害者等用データの収集 4 2.1.5 図書館による視覚障害者等用テキストデータ製作の支援等に係る実験 4 2.1.6 デジタル化資料の利活用に係る検討 4 2.2 円滑な利用のための支援の充実 4 2.2.1 来館利用サービス 4 2.2.1.1 視覚障害者等用資料の利用提供 4 2.2.1.2 館内利用における支援の充実 5 2.2.1.3 マニュアルへの対応実例の蓄積・共有及び支援方法の習熟 5 2.2.1.4 障害者用資料及び障害を理解するための資料の展示 5 2.2.1.5 特別支援学校による見学への対応 5 2.2.2 図書館への資料の貸出し 5 2.2.2.1 学術文献録音テープ等の貸出し 5 2.2.2.2 学校図書館セット貸出し 5 2.2.3 レファレンス・サービス 5 2.2.4 利用しやすい施設の整備 5 2.3 インターネットを利用したサービス 5 2.3.1 当館ホームページ及びインターネットを利用したサービスのアクセシビリティ確保 5 2.3.2 視覚障害者等用データ送信サービス 5 2.3.2.1 視覚障害者等用データ送信サービスの提供 5 2.3.2.2 参加館の拡大 6 2.3.2.3 「サピエ図書館」との連携強化 6 2.3.2.4 利用者登録手続の改善 6 2.3.3 統合検索サービスによる障害者用資料全般への見つけやすさの向上 6 2.3.3.1 統合検索サービスの提供 6 2.3.3.2 障害者用資料の書誌・所在情報の収集 6 2.3.3.3 障害者用資料の統合検索サービスの開発 6 2.3.3.4 統合検索サービスにおけるアクセシビリティに関するメタデータの充実 6 2.4 アクセシブルな電子書籍の導入促進等 6 2.5 外国からの視覚障害者等用データの入手及び国内で製作された視覚障害者等用データの外国への提供のための環境整備 6 2.6 サービス人材の育成 7 2.6.1 障害者サービスに携わる図書館員等に対する研修 7 2.6.2当館職員に対する研修・啓発 7 2.7 他機関等との連携 7 2.7.1 読書バリアフリー法基本計画に関する連携 7 2.7.2 障害者サービス関係諸機関・団体との連携 7 2.8 広報 7 3 実施体制 7 4 その他 7 4.1 法規整備 7 4.2 計画の見直し 7   1 基本的な考え方 1.1 趣旨及び目的 国立国会図書館(以下「当館」という。)は、国立国会図書館中期ビジョン「ユニバーサル・アクセス2020」及び「国立国会図書館 活動目標2017-2020」を前提に、「障害者サービス実施計画 2017-2020」(平成29年国図関西1703084号)に基づき、障害者に対するサービスに関する諸施策を着実に実施してきたところである。また、平成28年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)において社会的障壁の除去が社会に要請されていることなどを踏まえ、当館は「国立国会図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」(平成28年国図総1603292号。以下「対応要領」という。)として、当館職員が職務を遂行するに当たり、障害を理由として、障害者の権利利益を侵害することがないよう、服務上の指針を定め、平成28年4月1日に施行した。  平成31年1月には、視覚障害、発達障害、肢体不自由等により視覚表現の認識が困難な者(以下「視覚障害者等」という。)の読書環境の改善のため、「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」が、日本において発効し、同条約の法整備の一環として、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(令和元年法律第49号。以下「読書バリアフリー法」という。)が令和元年6月に公布・施行された。視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する社会的関心が高まる中、同法に基づき施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(以下「読書バリアフリー法基本計画」という。)が、令和2年7月に策定された。読書バリアフリー法基本計画は、国の施策として当館の取組を含む形で策定されているため、当館により一層の役割が期待されるところである。  令和3年1月、当館は新たに「国立国会図書館ビジョン2021-2025 国立国会図書館のデジタルシフト」(令和3年国図企2101133号)を定めた。これを受け、障害者が利用しやすい資料の一層の充実を促進するとともに、それらの資料を発見しアクセスできる体制・環境の整備を目指して本計画を策定し実行する。 1.2 計画の対象範囲 本計画で対象とするサービスは、障害者差別解消法第2条第1号に規定する障害者(以下「障害者」という。)(注1) で当館の利用に際して何らかの配慮が必要な者に対するサービスとする。 注1 障害者差別解消法第2条第1号において「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義されている。 1.3 計画期間 令和3年度から令和6年度までの4年間とする。 1.4 図書館利用における合理的配慮の提供 対応要領に基づき、サービス対象者に合理的配慮を提供し、その障害の特性に応じた図書館利用に関する支援を行う。 2 実施事項 2.1 視覚障害者等用資料 (注2)の充実 注2 国立国会図書館視覚障害者等用資料送信及び貸出規則(平成25年国立国会図書館規則第6号)において規定している、当館及び他機関が製作し収集した視覚障害者等用データと当館が製作した学術文献録音テープ等(学術文献録音テープ又は光ディスク媒体の学術文献録音DAISY資料がある。)を指す。 2.1.1 学術文献録音DAISY資料の製作 視覚障害者等の利用に供するため、当館が所蔵する専門的な学術文献を学術文献録音DAISY資料として引き続き製作する。 2.1.2 学術文献録音テープの媒体変換  劣化により音声データの消失が懸念される当館製作学術文献録音テープについては、保存及び利活用の機会を保証するため、DAISY規格での録音データ化を引き続き実施する。 2.1.3 視覚障害者等用テキストデータの製作 2.1.3.1 当館所蔵学術文献のテキストデータ製作  視覚障害者等の利用に供するため、当館が所蔵する専門的な学術文献のテキストデータを製作する。その際、校正済かつ構造化済のテキストデータ(正確性と利便性を重視したもの)と、未校正のテキストデータ及び画像データ(製作期間の短縮と製作数量を重視したもの)という二つのメニューを用意し、用途や目的に応じて選択できるようにすることで、質的要求と量的要求の両方に対応する。 2.1.3.2 数式入り学術文献のテキストデータ製作の検討  テキストデータ化が困難な数式・化学式を含む理工系の学術文献について、試行的に製作及び検証を行いながら製作・提供の方法を検討する。 2.1.3.3 図、グラフ、写真等の視覚情報に対する代替テキストの作成の検討  テキストデータ製作の中で、学術文献に含まれる図、グラフ、写真等の視覚情報を説明する代替テキストを製作しながら、視覚障害者等に、よりわかりやすい説明になるよう仕様を検討する。また、同仕様を公開して他機関のテキストデータ製作を支援する。 2.1.4 視覚障害者等用データの収集  公共図書館からの着実な収集を継続するとともに、視覚障害者等用データ送信サービスや「サピエ図書館」において提供件数が少ない、大学等で製作された学術文献のデータ、児童書のデータなどの収集を重点的に行う。 2.1.5 図書館による視覚障害者等用テキストデータ製作の支援等に係る実験  日本点字図書館と協力して行う実験事業として、当館の運用する共同校正システムを用いて点字図書館や公共図書館等におけるテキストデータ製作を支援する。また、実験事業を踏まえ、同システムを用いた図書館におけるテキストデータ製作支援の今後の枠組みを検討する。 2.1.6 デジタル化資料の利活用に係る検討  OCR機能によりデジタル化資料から生成されたテキストデータの視覚障害者等への提供について検討する。また、OCR処理精度向上のための調査研究の成果の活用可能性について検証する。 2.2 円滑な利用のための支援の充実 2.2.1 来館利用サービス 2.2.1.1 視覚障害者等用資料の利用提供  東京本館、関西館及び国際子ども図書館の館内において、引き続き、点字資料、大活字資料等の利用提供を行うとともに、視覚障害者等に対して視覚障害者等用資料を利用に供する。また、関西館、東京本館及び国際子ども図書館間での学術文献録音図書等の取寄せサービスを引き続き提供する。 2.2.1.2 館内利用における支援の充実  各施設において、筆談等によって障害者とのコミュニケーションの取り方に配慮しながら、障害の特性に応じて合理的配慮を提供する。また、視覚障害者等用端末、拡大読書器、音声読書器等を使用して図書館資料を利用する場合には別室を提供するなど、引き続き支援の充実を図る。 2.2.1.3 マニュアルへの対応実例の蓄積・共有及び支援方法の習熟  東京本館、関西館及び国際子ども図書館で、対応実例を蓄積・共有することで、図書館利用に困難がある者への対応マニュアルを引き続き整備し、サービスの改善を図る。また、各施設において、視覚障害者等用端末等の操作や障害者対応について、支援方法の習熟及び知識・情報の継承を図る。 2.2.1.4 障害者用資料及び障害を理解するための資料の展示  障害者用資料の認知度向上のため、国際子ども図書館等において、障害者用資料及び障害を理解するための資料を展示するスペースの設置に関する検討を行う。 2.2.1.5 特別支援学校による見学への対応 国際子ども図書館において、引き続き特別支援学校による見学に対応する。 2.2.2 図書館への資料の貸出し 2.2.2.1 学術文献録音テープ等の貸出し  当館で所蔵している学術文献録音テープ等の図書館を通じた視覚障害者等への貸出サービスを引き続き行う。 2.2.2.2 学校図書館セット貸出し  国際子ども図書館が行っている学校図書館セット貸出しについて、特別支援学校への貸出しも引き続き実施する。また、貸出セットに、障害者用資料及び障害を理解するための資料のセットを追加する。 2.2.3 レファレンス・サービス  来館、非来館を問わず、障害者からレファレンス・サービスに関して配慮を希望する旨の申出を受けた場合、受付及び回答方法について合理的配慮を行う。また、東京本館、関西館及び国際子ども図書館において対応実例を蓄積・共有し、サービスの改善を図る。 2.2.4 利用しやすい施設の整備  バリアフリーの観点から施設の見直しを適宜実施し、東京本館、関西館及び国際子ども図書館の適切な環境整備を図る。 2.3 インターネットを利用したサービス 2.3.1 当館ホームページ及びインターネットを利用したサービスのアクセシビリティ確保 当館ホームページ及びインターネットを利用したサービスについて、ウェブアクセシビリティへの対応状況を確認するための検証・試験と、システム改修及び運用・保守における改善を計画的に実施する。また、国立国会図書館が作成したPDF等の電子文書ファイルへのアクセシビリティ対応を進める。 2.3.2 視覚障害者等用データ送信サービス 2.3.2.1 視覚障害者等用データ送信サービスの提供 視覚障害者等用データ送信サービスを引き続き提供する。 2.3.2.2 参加館の拡大 より多くの視覚障害者等が図書館を通じて視覚障害者等用データを利用できるようにするため、広報や研修等を通じて図書館の視覚障害者等用データ送信サービスへの参加拡大を図る。 2.3.2.3 「サピエ図書館」との連携強化  特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会及び「サピエ図書館」のシステム運用管理を行っている日本点字図書館等と連携し、「サピエ図書館」を通じて視覚障害者等用データ送信サービスで提供している視覚障害者等用データの提供を引き続き行う。また、当館とサピエ図書館の役割も踏まえながら、両サービスが提供する視覚障害者等用データの国内の図書館及び視覚障害者等による利用を促進する。 2.3.2.4 利用者登録手続の改善 より多くの視覚障害者等が登録しやすい利用者登録手続について引き続き検討する。 2.3.3 統合検索サービスによる障害者用資料全般への見つけやすさの向上 2.3.3.1 統合検索サービスの提供 「国立国会図書館サーチ」を通じて、「点字図書・録音図書全国総合目録」、デジタルデポジットシステムに搭載した視覚障害者等用データ、納本制度等により当館が収集した障害者用資料、「サピエ図書館」等の統合検索サービスを引き続き提供する。 2.3.3.2 障害者用資料の書誌・所在情報の収集 視覚障害者等用データとして収集できないデジタル形態でない資料へのアクセスを担保するため、非デジタルの障害者用資料の書誌・所在情報を重点的に収集する。 2.3.3.3 障害者用資料の統合検索サービスの開発 「国立国会図書館サーチ障害者向け資料検索」の後継として、障害者用資料を見つけやすく、読み上げソフト利用者等にも使いやすいユーザインターフェイスを備えた障害者用資料の統合検索サービスを新たに開発する。 2.3.3.4 統合検索サービスにおけるアクセシビリティに関するメタデータの充実 障害者用資料の統合検索サービスにおいて、障害者用資料のアクセシビリティに関する情報を提供するメタデータ(アクセシビリティメタデータ)の充実を図り、障害者が利用できる資料をより見つけやすくする。 2.4 アクセシブルな電子書籍の導入促進等  音声読み上げ機能(Text To Speech: TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍を提供する民間電子書籍サービスについて、関係団体の協力を得つつ図書館における読書バリアフリーに関する適切な基準の整理等を行い、図書館への導入を支援する。 2.5 外国からの視覚障害者等用データの入手及び国内で製作された視覚障害者等用データの外国への提供のための環境整備  外国で製作された視覚障害者等用データの円滑な入手及び国内で製作された視覚障害者等用データの外国への提供を促進する。特に学術文献について、関係省庁や大学関係機関との連携の強化を図り、環境の整備を進める。 2.6 サービス人材の育成 2.6.1 障害者サービスに携わる図書館員等に対する研修  図書館における障害者サービスの普及と充実を図るため、図書館員等を対象とした研修を引き続き実施する。 2.6.2当館職員に対する研修・啓発  障害者の館内利用における支援の充実を図るため、当館職員を対象とした障害者サービスに関する研修・啓発を引き続き実施する。なお、研修には、障害の特性に応じたコミュニケーションに関する内容を含めるよう留意する。 2.7 他機関等との連携 2.7.1 読書バリアフリー法基本計画に関する連携  読書バリアフリー法基本計画に示された各施策について、同計画を所管する文部科学省及び厚生労働省、並びに視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(注3)の構成員等の関係者と連携し、各種調整、進捗状況の共有等を行う。 注3 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため、読書バリアフリー法第18条の規定に基づき設置。 2.7.2 障害者サービス関係諸機関・団体との連携  サービス等の充実を図るため、日本図書館協会障害者サービス委員会や諸機関・団体と意見聴取等をはじめとする連携を行う。 2.8 広報  当館を利用する際に必要な情報を得やすいように障害者用資料の利用情報やサービス概要を集約して当館ホームページ、刊行物等に掲載するとともに情報の充実を図る。 3 実施体制 実施計画の総括は、関西館図書館協力課が行う。2に掲げた各項目については、所掌に基づき関係部局課が実施する。 4 その他 4.1 法規整備 この計画の実施に当たり必要となる関係法規の整備は、順次実施する。 4.2 計画の見直し この計画は、実施期間中においても、必要に応じ適宜見直しを行う。