(秘)
(参考)
憲法改正(私案)
布施辰治起案
一、はしかき
打倒か?支持か?を決定する天皇制の批判は、憲法改正の結論に期待する一億国民の関心を集注して居る。
顧みれば、三十年前の大正五年。筆者は、立憲君主政体の「立憲民主」と「君主専制」を疑ふ矛盾に想到して、私かに、天皇制の批判を検討し、爾来三十年間筆者の思想経歴は、天皇制を中心とする、国体問題に触れて幾多の問題を惹起したことは周知の通りてある、しかし、天皇制との、因縁を有する筆者は、ここに身を以て批判したる天皇制の打倒か?支持か?を「日本民主化のポツダム宣言履行と、終戦御大詔の国体護持に調整」する結論に到達したのである、その結論過程は、別稿「日本の民主化と国体護持の調整」に於て、要述したる理論検討の参照を求め、茲には、その結論を具体化したる憲法改正私案を発表して、一億国民の心からなる再批判を要望する
第一章 統治権
第一章には、憲法の基盤たる統治権の所在、及、統治権の行使に関する根本方針を規定する
第一条 日本国ハ、日本国民ノ享有スル統治権ニヨリ、之ヲ統治ス
第一条は、統治権の国民に在ることを明かにした憲法民主化の正文てある
第二条 日本国民タル資格ハ、国籍法ニヨリ之ヲ定ム
第二条は、民主的憲法の主権所在を闡明したる、国民の資格を規定したる正文てある国籍法は人種と民族の問題を公平に規定する
第三条 統治権ハ、憲法ノ条規ニ拠リ政府之ヲ代行ス
第三条は、国民の総意を結集する国家は、総合法人たることを明かにすると同時に、政府は、その機関たることを明にしたる正文てある
第四条 政府ハ、議会ノ協賛ヲ受ケ、天皇ノ裁可ヲ経テ、統治権ヲ行フ
但シ、天皇ハ、議会ノ協賛ヲ受ケタル政府ノ奏請事項ニ付、不裁可スルコト無カルヘシ
第四条は、統治権の行使機関たる政府の活動を議会によつて基盤的に統制する、根本的運営規定てある
但し書きは、天皇と議会との比重を示したる正文てある
第二章 議会
第二章には、統治権の本体たる国民の総意を反映する議会の構成、及、その活動と作用を規定する
第五条 議会ハ、一院二部制トシ、一部ハ、国民直接公選シタル議員ニヨリ、二部ハ、市町村、及、経済、文化等、法認団体ノ公選シタル議員ニヨリ構成ス
第五条は、国民の総意を反映する議会の構成に関する正文てある
一院二部制は、現行の衆議院と貴族院を合併して、更に分離した再議制を維持した新組織てある
詳細は議院法の参照を望む
第六条 公選ニ関スル手続ハ、議院法ニヨリ之ヲ定ム
但シ、選挙区内選挙有権者ノ総数ヲ選挙区内議員定数ヲ以テ除シタル、有権者数ノ十分ノ一以上ヲ得票シタル者ニ非ラサレバ当選者ト為スコトヲ得ス
第六条は、憲法附属の議院法を約束し、但書きは、議員の民意代表に関する最底法定点数制の規定で、有権者の全部が投票を棄権し、候補者一人が自選投票をして当選する現行選挙法の総投票数基準の最低法定点数制を排し、総有権者数基準の最低法定点数制を確立した正文てある
第七条 中央地方ノ議会組織、及、其ノ公選ニ関スル手続ハ、前二条ニ做フコトヲ要ス
第七条は、中央地方議会の構成、及、組織に関する一般行政機構の組織方針を明かにしたる正文てある
第八条 議会ハ、毎年二月、九月、二回開会ス
会期ハ、各五十日トス
但シ、議会ハ、其ノ決議ニヨリ、特別継続委員会ヲ常置スルコトヲ得
第八条は、議会の開会を二回制とし、一回を予算中心に、一回を決算中心に開会して、政府の統治権行使を監督する議会機能を完全に発揮せしむることを企図した正文である
但し書は、絶対に必要な継続委員会の設置を約束したる正文てある
第九条 政府ハ、緊急事項ノ審議ヲ求ムル為メ、十日以内ノ会
期ヲ以テ、臨時議会ヲ開クコトヲ得
第九条は、臨時議会の召集に関する正文て、その会期を十日と限つたのは、通常議会との関係を明かにする技術的理由に基くものてある
第十条 議会ノ召集、開会、閉会ハ、政府之ヲ行フ
第十条は、政府の議会運営に関する技術的立場を明かにした正文てある
第十一条 何人モ、同時ニ、直接選挙ト団体選挙ノ議員ヲ兼ヌルコトヲ得ス
第十一条は、議員の兼職禁止てある
第十二条 議会ハ、政府提出ノ議案ヲ審議シ、且ツ、法律案ヲ提出シ、国民ノ請願ヲ受理採択シテ、政府ニ建議スルコトヲ得
第十三条 議会ハ、政府ノ退譲ヲ決議スルコトヲ得
第十二条、十三条は、議会の職能と権限に関する期定て、政府の施政と存続を制約する正文てある
第十四条 議会ハ、総員三分ノ一以上ノ所属議員出席スルニ非レバ、開会スルコトヲ得ス
第十四条は、議会審議の出席定足数に関する規定てある
第十五条 議会ノ議事ハ、公開ス
但シ議会ノ決議ニヨリ、秘密会ト為スコトヲ得
第十五条は、読んで字の如き議会審議の公開原則と特種の秘密会に関する規定て、現行憲法の如く、政府の秘密会要案を必す納れなければならない、盲従を廃した正文てある
第十六条 議会ノ議事ハ、総員五分ノ一以上ノ多数ニ依ツテ決ス
第十六条は、出席者本位の議決方法を総員本位とし、第十四条の規定と相俟つて、仮りに、四百五十人の総員に対する百五十人の出席議員中、九十人即ち五分の三を可決数とし、専断的な議長の決裁権を一排した正文てある
第十七条 同一ノ会期ニ於テ、否決シタル事項、及、法律案ヲ再ヒ提出スルコトヲ得ス
第十七条は、同一会期中の同一議案再議禁制を明かにした正文てある
第十八条 議員ハ会期中、議会内ノ言論、及、政治活動ノ自由ヲ有シ、議会内ノ言論、及、活動ニ付法律ニヨル、逮捕、監禁、審問、処罰ヲ拒否スルコトヲ得
第十八条は、議員の議会言論と議会活動の自由を保障した正文てある
現行の憲法五十二条と比較し、合理的に洗練した思案に基いたものてある
第三章 天皇
第三章には、憲法の民主化と国体護持を調整した、憲法上の天皇制を規定する
第十九条 天皇ハ、万世一系ノ皇男子孫、之ヲ承継ス
第十九条は、天皇位に関する正文て、皇男子孫の承継者を欠如する場合、上下共に、現実的天皇制廃了を締諒することを予言するものてある
第二十条 天皇ハ、法律ニヨル逮捕、監禁、審問、処罰ヲ拒否スルコトヲ得
但シ天皇ハ、国民生活ノ儀表ヲ垂範スル自粛ヲ要ス議会ニ於テ、自粛ノ不十分ヲ決議セラレタル天皇ハ本項ノ拒否権ヲ失フ
第二十条は、天皇の不可侵性を神秘的なものてなく、人間的なものに合理化したる正文てある、但し書は、天皇制の尊厳と自粛に関する規定と共に、万一の場合を合理化したものてある
此の問題に触れない憲法改正は、無意味てある
第二十一条 天皇位ノ承継、及、摂政ニ関スル手続ハ、皇室典範範ニヨリ、之ヲ定ム
第二十一条は未成年の天皇位承継者と其の摂政に関する規定てある、たか第十九条の正文により、養子、及、傍系相続は自ら禁制される
第二十二条 天皇ハ、直接国民ノ篤行ヲ賞シ、又ハ、政府ニ其ノ賞賜ヲ提議スルコトヲ得
第二十二条は、天皇に国民儀表推賞権を保持することの無害有効を勧察した正文てある
第二十三条 天皇ハ、政府ニ対シテ、恩赦ノ実施ヲ提議スルコトヲ得
第二十三条は、前第二十二条と同様の趣旨に基く規定てある
第四章 政府
第四章には、第一条の統治権を行使する機関としての政府の構成、及、作用に関することを規定する
第二十四条 政府ハ、国民ノ総意ヲ収約シタル政党ニヨリ、組織セラルヘシ
但シ政府ノ組織ニ関スル手続ハ、内閣官制ニヨリ之ヲ定ム
第二十五条 中央、地方行政機構ノ組織ハ、前条ノ規定ニ做フコトヲ要ス
第二十四条第二十五条は、政府は、政党によつて組織される民主的政党内閣制を明かにした正文てある
但し書の内閣官制に、一般行政機構をも含ましむる為め、第二十五条を置いたのてある
第二十六条 政府ハ議会ニ於テ、施政方針ヲ闡明スルコトヲ要ス
第二十六条は、議会に対する政府の責任基準を明定した正文てある
第二十七条 政府ハ、国民ノ総意ヲ斟酌シテ議会ヲ解散スルコトヲ得
第二十七条は、第十三条の規定と相俟つて、国民の総意が議会を離れた場合と国民の総意が政府を離れた場合の非常措置に関する規定てある
第二十八条 政府ハ、議会ノ大勢ヲ国家内外ノ情勢ニ即応セシムル為メ、議会ニ停会ヲ命スルコトヲ得
第二十八条も、前条と同一の趣旨に基く政府の非常措置を保留した正文てある
第二十九条 政府ハ、公選セラレタル司法行政各部ノ長官、及其ノ他法律ニ依リ、特定セラレタル官制以外ノ官制及、俸給ヲ定メ、其ノ官制在職者ヲ任免スルコトヲ得
第二十九条は、公選者と、公選長官の抜擢任用以外の官吏任用と俸給査定に関する現行憲法第十条を参酌した正文てある
第三十条 政府ハ、法律ヲ以テ、決定シタル施政方針ヲ実施スル為メ、閣令、及、省令ヲ発布スル権限ヲ有ス
第三十条は、議会に於て決定したる法律の実施方法に関する閣令及、省令の発布を可能ならしむる規定てある
第三十一条 政府ハ、統治権ヲ行使シタル業績ニ付、議会、及天皇ニ対シテ責任ヲ負フ
第三十一条は、政府は、その施政業績に付議会、及、天皇に対して責任を負ふべきことを規定した正文てある
実際的には、第十三条の議会決議として、表はれる前の任意辞職を自誡せしむる規定てある
第三十二条 政府ハ、国際条約ニ付、議会ノ協賛ヲ受ケ、天皇批准ヲ経ルコトヲ要ス
但シ緊急事項ニ付、機宜ノ処置ニ出ツルコトアルヘシ
第三十二条は、国際条約の発効に関する規定てある
但し書きは、非常紛争等に善処する場合を考慮した規定てある
第五章 立法
第五章には、立法に関する事項を規定する
第三十三条 政府ノ統治権ヲ行使スル基本方針ハ、法律ニヨリ之ヲ定ム
第三十四条 法律ハ、議会ノ協賞ヲ受ケ、天皇ノ裁可ヲ経テ、之ヲ制定ス
第三十三条、第三十四条は、民主化する日本の法治国家として国民の立憲的人権保障を徹底する規定である
第三十五条 法律ヲ施行スル為ノ細則ハ、閣令、又ハ、省令ニヨリ、之ヲ定ム
第三十五条は、第三十条の閣令、省令を発布する政府の権限を明かにした正文てある
第六章 司法
第六章には、司法に関する事項を規定する
第三十六条 司法、及、行政裁判ハ、陪審制ニヨリ、裁判所、及検事局ニ於テ、之ヲ行フ
第三十六条は、司法行政の独断認定を恣にする官僚裁判制度を撤廃して、民、刑、人事、行政の全へてにつき民意を反映する陪審裁判制度の確立を明かにした正文てある
現行の陪審裁判制度よりも、迅速な即決を期待し得る方法がある
第三十七条 政府ハ、検事局ニ命シテ、公訴権、及、確定判決ノ効果ヲ失却シ、又ハ、軽減スル為ニ、恩赦ヲ行ハシムルコトヲ得
第三十七条は、恩赦に関する規定て、現行憲法の天皇大権、事項を制約したる必然の恩赦規定てある
第三十八条 裁判所、及、検事局ノ構成ハ法律ニヨリ之ヲ定ム
第三十八条は、裁判所、及、検事局の構成に関する規定である
第三十九条 裁判所、及、検事局ノ長官ハ、特定国民ノ公選トス
第三十九条は、訴訟関係者等の選挙権を特定し裁判所、及、検事局の長官を公選して裁判を民主化せしめる規定てある
第四十条 裁判ハ、審理、及、判決ヲ公開ス
但シ陪審制ニヨル裁判前ノ準備手続ハ、弁護士、及特別関係者以外ノ傍聴ヲ禁スルコトヲ得
第四十条は、裁判の公開原則を徹底して、裁判の民主化を期するものてある
但し書の準備手続も、亦、公開を原則とし、関係弁護士、及利害関係以外の傍聴のみを禁止し得る例外を認めたのである
第七章 国民ノ権利、義務
第七章には、国民の権利、義務を規定する
第四十一条 日本国民ハ、左記各号ノ権利ヲ享有ス
1、日本国民ハ、統治権ヲ行使スル国政ニ参与スル官庁公署ノ部署ニ就職スル自由
2、居住、及、移転ノ自由
3、司法権ノ行使ニ拠ラサル逮捕、監禁、処罰ノ拒否
4、住居安定ヲ確保スル、侵入、拒否、及、退去ノ要求権
5、信書ノ秘密、及、通信ノ自由
6、信念信教ニ関スル思想ノ自由
7、言論、及、集会、結社、印行出版ノ自由
8、生活必需物資消費ノ自由
9、入学、転学、退学ノ自由
10、議院法ニヨル検議権、及、請願権ノ行使
第四十一条は、現行憲法の一権一条主義を改めて、一条への権利を集約列挙主義としたもので、各種の権利は、一読自明である
尚ほ法律の範囲内、若くは、法律の定める所に従つてと云ふ規定は、当該法律の必然効果として、特に、正文化して置く必要なしといふ筆者の意見てある
第四十二条 日本国民ハ左記各号ノ義務ヲ負フ
1、法律ニヨル納税ノ義務
2、法律ニヨル勤労奉仕
第四十二条は、国務の義務に関する規定である
兵役の義務はなくなつたか、勤労奉仕の義務は、勤労奉仕法を制定して、その濫用を戒むると共に、青年訓練の為に、必要なりと思惟する規定てある
第八章 会計
第八章には、国家の会計に関する予算、決算を中心とした事項を規定する
第四十三条 政府ハ、統治権ノ行使ニ必要ナル歳出歳入ノ予算ヲ一年度毎ニ編成シテ、議会ノ協賛ヲ受クルコトヲ要ス
但シ予算ノ款項ニ超過シタル支出ニ付テハ、支出直後ノ通常議会ニ報告シテ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第四十三条は、予算に関する規定てある
但し書は予算外支出に関する監査を目的とした規定てある
第四十四条 予算ノ歳入ハ、租税ヲ以テ、支弁ス
第四十四条は、予算財源の租税一本主義を原則とし、絶対に赤字の出ない予算編成方法を期した規定てある(筆者にその創意工夫あることを附記する)
第四十五条 政府ハ、租税以外ノ専売利益ニ特別会計収入、及、手数料ヲ以テ、予算ノ歳入ヲ補フコトヲ得
第四十五条は、予算財源の歳入について、各種専売利益、その他の手数料を考慮したる規定てある
第四十六条 租税ノ新設、及、改廃ハ、法律ニ拠ル
専売利益、特別会計収入、及、手数料等ガ国民ノ負担ヲ加重スル場合ニ於テハ、議会ニ常置スル特別予算委員会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第四十六条は、国民の負担は、議会の協賛を要する原則を確立した規定てある
但し書きも同様の趣旨を以て、特別継続予算委員会の同意を条件としたのである
第四十七条 既ニ、議会ノ協賛ヲ受ケタル年度計画ノ継続歳出予算ハ之ヲ削減スルコトヲ得ス
但シソノ年度計画ヲ変更スル場合ハ、此ノ限リニ非ス
第四十七条は、継続年度計画の予算歳出に関する制限規定てある
第四十八条 法律ノ義務ニ基ク歳出ノ予算ハ、政府ノ同意ナクシテ之ヲ削減スルコトヲ得ス
第四十八条も、前条と同一趣旨に基いた規定てある
第四十九条 政府ハ、避クベカラザル予算ノ不足ヲ補フ為、又予算外ノ突発事件ヲ処理スルニ必要ナル費用ニ充ツル為メ、予算歳出ノ一割ヲ超エサル予備費ヲ設クルコトヲ得
但シ、予備費ヲ各省ノ処分ニ一任スル支出ハ、特別継続予算委員会ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
第四十九条は、予備費に関する規定て、その最高を制限した所に新意があり、且つ、その支出にも制限を附し、行政的専恣を制約した規定てある
第五十条 公共ノ安全ヲ保持スルタメ、緊急ノ必要アル場合ニ於テハ、特別予算委員会ニ諮問シ、政府ノ責任ヲ以テ、財政上必要ノ処分ヲナスコトヲ得
第五十条は、震災、洪水、火災等の突発変事に備ふる政府の財政的措置を保障した規定てある
第五十一条 前三条ノ出資ニツイテハ、支出直後ノ議会ニ報告シテ、同意ヲ得ルコトヲ要ス
第五十一条は、前三条の予算外支出を監督する議会の根限を確保した規定である
第五十二条 議会ニ於テ、予算ヲ議定セス、又ハ、予算成立ニ到ラザル時ハ、前年度ノ通常予算ノミヲ施行スヘシ
第五十二条は、予算不成立の場合に関する規定で、前年度の通常予算のみを施行する制限を付して、その適正をアヤマラない様にした正文てある
第五十三条 国家ノ歳入歳出ハ、議会ニ於テ、其ノ決算ヲ検査確定スルコトヲ要ス
第五十三条は、予算中心一本建の議会を、決算中心を加へた二本建議会とし、議会の開会もその為に二回とした趣旨を貫く本条の決算は、大いに厳正詳細を究めることを議院法に規定する基本的正文である
第五十四条 議会ハ、決算委員会ヲ構成シ、決算ノ検査確定ニ必要ナル予算実施ノ現状、及、帳簿ヲ査察シ、且ツ、其ノ支出責任者ヲ査問スルコトヲ得
第五十四条は、決算委員会の権限を全面的に保障して、濫費支出を警戒し、且つ濫費支出担当者を社会的に制裁することを目的とした規定である
第五十五条 本憲法ノ規定ハ、議会ノ総員五分ノ四以上ノ同意アル時ハ、其ノ一部、又ハ、全部ヲ改正スルコトヲ得
但シ、憲法改正草案ハ、議会ニ提出スル三ケ月以前ニ公表シテ、国民ニ批判ノ機会ヲ与フルコトヲ要ス
第五十五条は、国民の総意を反映する時代の流れに沿ふ憲法の改正を可能ならしむる規定である
以上
結語
発表を急いたため、その説明を詳述し得ないか、条文の配列と正文の字句には相当入念の思索をつくし、現行憲法の触れてゐる問題の全へてを網羅し、民主主義的憲法として確立すへき原則は全へて確立し、日本特殊の天皇制にも触れて矛盾の跡を示さない様に努めた筆者の用意を諒とされたい。
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