終戦ト憲法 (二0・九・十八) 入江稿[ほか]

終戦ト憲法(二〇・九・十八)
入江稿、憲法改正ノ基本的立場(二〇・一〇・二三 部内会議)
天皇ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第一案)
臣民権利義務ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第二案)
「ポツダム」宣言受諾ニ伴ヒ研究ヲ要スル憲法第二章ニ於ケル問題
第三章帝国議会
第三章帝国議会ニ付テ考フベキ諸問題
帝国議会ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第三章)
第四章国務大臣及枢密顧問
司法(第五章)
憲法改正ニ付研究問題
会計(第六章)
第七章補則


終戦ト憲法(二〇・九・十八)



入江稿
終戦ト憲法 (二〇・九・十八) 終戦ニ伴ヒ憲法中研究ヲ要スル事項概ネ左ノ如シ
一 軍ノ制度ノ廃止ニ伴ヒ改正ヲ要セズヤト認メラルルモノ
第十条(任官大権)及第十九条(就官能力)中「文武官」ヲ「官吏」ニ改ムルコト
第十一条(統帥大権)ヲ削除スルコト
第十二条(編制大権)ヲ削除スルコト
第十三条(外交大権)中「戦ヲ宣シ和ヲ講ジ及」ヲ削ルコト
第十四条(戒厳大権)ヲ削除スルコト
第二十条(兵役ノ義務)ヲ削除スルコト
第三十一条(非常大権)中「戦時又ハ」ヲ削ルコト
第三十二条(軍人ニ対スル第二章ノ準用)ヲ削除スルコト
備考
イ 改正ノ時期ハ第十三条、第十四条及第三十一条ノ改正ハ可及的速カニ之ヲ為シ得ベキモ、ソノ他ノ改正ハ軍人ノ身分ノ継続スル間ハ存置スルカ又ハ必要ナル経過規定ヲ附シ改正スベキモノナラン
ロ 第十三条及第三十一条ハ改正ノ必要ナシトノ意見モ成立シ得ベキカ
二 ポツダム宣言受諾ニ伴ヒ考慮ヲ要スベキモノ
(イ)憲法上ノ大権事項ハ之ヲ認ムベキカ、認ムルトスルモ、之ヲ縮少シ帝国議会参与ノ範囲ヲ拡張スベキニ非ルカ
(ロ)憲法第三十一条ノ如キハ全部削除スベキカ
(ハ)憲法第三十四条(貴族院ノ構成)ハ改ムルノ要ナキカ
(ニ)帝国議会及両院ノ職権ヲ拡張スルノ要ナキカ
(ホ)貴族院ノ能力ヲ制限スベキニ非ルカ(両院対等ノ原則ノ検討)
(ヘ)帝国議会ノ三箇月ノ会期(憲法第四十二条)ヲ更ニ長期ト為スベキニ非ルカ
(ト)帝国議会ノ解散権(憲法第七条、第四十五条)ヲ制限スルノ要ナキカ
(チ)枢密院ノ制度(憲法第五十六条)ヲ廃止スベキニ非ルカ
(リ)憲法第七十一条(前年度予算施行)ノ条項ヲ検討スルノ要ナキカ
(ヌ)憲法第七十三条(憲法改正)ノ条項ヲ検討スルノ要ナキカ


入江稿、憲法改正ノ基本的立場(二〇・一〇・二三 部内会議)



二〇・一〇・二三
部内会議

憲法改正ノ基本的立場

一、天皇ガ統治権ノ主体ニアラセラルル我国体ハ之ヲ改変セズ(第四条ノ法文如何)
二、ポツダム宣言受諾ニ伴ヒ当然改正ヲ要スト認メラルル条項ノ改正ニ止ムルコト(国民ノ自由ナル意見ノ□□ニ依リ政治機構ヲ改ムル)
三、憲法付属法令ノ改正ヲ行フコト
四、皇室典範ト憲法トヲ対立セシメ相共ニ国家ノ根本法タラシムル制度ハ之ヲ改変セス 但シ 皇室典範ハ皇室自体ノ規定及皇室ト密接不可分ノ国務ニ亘ル事項ニ関スル規定ニ止メ、然ラザル規定ハ之ヲ憲法又ハ其ノ附属法令ニ移スコト
五、帝国議会ノ権限ヲ広ク一切ノ国務ニ及ブコトトシ、言論ノ自由ヲ徹底的ニ保障スルコト
六、憲法ノ改正ノ修正権ナキニポツダム宣言受諾トノ関係如何
「改正ヲスル場合」ポツダム宣言トノ関係ニ於テ
憲法改正ノ手続ヲ改正シ人民ヨリノ発議又ハレフェレンダムトシソノ上デ本格的改正ヲ為ス(佐藤)
解釈ノ出来ル限リ改正ヲシナイデユキタシ(今枝)
全部解釈デユキ得ルカ
七、ワイマール憲法
帝国憲法
アメリカ憲法ヲ参考
ベルギー憲法


天皇ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第一章)


天皇ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第一章)

一、天皇ハ統治権ノ主体ナルモ之ガ行使ニシテ国務ニ係ルモノハ一切ヲ挙ゲテ国務大臣ノ輔弼ニ依ルコトトシ、之ニ関シテハ国務大臣ハ其ノ責任ヲ国民ニ対シテ負担スルコトトス
備考 イ、君主ハ統シテ治セズト云フガ如キ立前ヲ排除シ天皇ハ統シテ治ストノ立前ヲ採ルコト
ロ、国務大臣責任ヲ明確化スルコト
二、所謂憲法上ノ大権事項ハ帝国議会ノ権限外トスルノ立前ヲ払拭シ、従テ大権命令ノ観念ヲ認メズ 但シ特定事項ノ具体的措置ヲ天皇自ラ行フ事項トスルコト(官吏任免、条約締結、栄典授与、恩赦等)

以下(三~七項)のページには付箋メモあり。テキスト化は行っていない。

三、独立命令制定権ニ関シ憲法上ノ立法事項トノ関係ヲ明瞭ナラシム(第五条、第九条、第二章) 法規□□(必要的立法事項 随意的立法事項)トニ分レルカ(佐藤)
憲九条ノ□□解釈ハ改ムルコト(第二章ノ建方ト関係深シ)
四、帝国議会ノ作用ニ関スル天皇ノ権限ニ改正ヲ加ヘ帝国議会側ヨリモソノ作用ニ関スル要求権ヲ認メシムルコト(七条) 召集要求権ヲミトム 開会ヲ自発的ニ出来ル 停会権? 解散権ハ之ヲミトムベシ
五、軍ノ制度ノ廃止ニ伴ヒ不要ノ規定ヲ削除スルコト
六、日本ハ永世中立国トストノ表現ヲトルヤ(佐藤)
第十一―第十四ノ削除ハ可能ナリヤ(軍ハ存続セシメヌガ将来ノ軍ハ如何)
講和条約ハムスバネバナラヌ。此ノ規定ハ削除シ得ヌカ、議会ノ議決ヲ要ス大権事項ヲ削レバ、軍ノ将来アルカナイカノ問題ニフレヌ大権事項ノ類推トシテ考ヘル。(議会ノ議決ヲ要ス
七、緊急勅令ノ関係(枢府ノ改組ニテユクカ)


臣民権利義務ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第二章)


臣民権利義務ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第二章)

一 憲法上ノ立法事項ノ観念ヲ是正ス
ワイマール憲法ヲ参考トスルヲ可トスベシ、独ワ、一四二、一五一、一五二、一五七以下
二 日本臣民ハ法律ノ前ニ平等ナル旨ノ明示
(之ハ封建ヲヤメル□ナラトモカク今日ナラ此ノ必要ナカラン。若シ書クト皇族華族ニモナル)
二ノ二 第二章ノ規定ノ趣旨 臣民ノ基本的権義ノ規定ナシ(サスレバ規定中ニ法律ニ依リ云々ノ文句ハ不要 ソノ方ハ憲五条ニ書ケバヨカロウカ)
三 職業、学問、研究ノ自由
三ノ二 所有権問題(憲二七条)
1、ヨーロッパハ憲法ニ直接立法トハ何カト云フ事ハ書イテナイ、当然トシテオル如シ
2、基本権ヲ書キ、ソレニハ法律ニテ制限スルモノトスル表現ヲトッテオル
3、前各条ノ外法律ニ依ルニ非レバソノ自由ヲ制限セラルルコトナシトスルカ(佐藤)
四、信教ノ自由ノ制限ヲ立法事項トス──之ハ宗教ノ性質上困難ナラン国教制度ノ問題、帝国ノ国教制度如何(此ノ二条件ハ書ナイ更ニソレハ法律ニヨルトスル二七IIト同ジ)
五 第三十条ヨリ封建色ヲ払拭(相当ノ敬礼ヲ守リ)
六 第三十一条ノ存廃(之ハ民主主義ノ大例外此ノ大戦ニサヘ使用サレナカッタ条文故不要)
六ノ二 第三十二条削ル
七 軍ノ制度ノ廃止ニ伴ヒ不要ノ規定ヲ削除スルコト
八 第二章「臣民ノ権利」トシ二〇、二一ハ之ヲ除キ二一ハ財務ノ中ニ入レル、


「ポツダム」宣言受諾ニ伴ヒ研究ヲ要スル憲法第二章ニ於ケル問題 (昭和二〇・一〇・二二成)



(秘)
井手稿
(昭和二〇・一〇・二二成)

「ポツダム」宣言受諾ニ伴ヒ研究ヲ要スル憲法第二章ニ於ケル問題

全般
○憲法第二章中ニ「憲法中ニ列挙セラレザルモ人民ノ保有スル権利利益ヲ侵害スル場合ハ法律ヲ以テスルヲ要スル旨ノ規定」ヲ設クベキヤ(米増補九号、亜憲法三三条)
○現在ノ自由権ノ外基本的人権トシテ特掲スベキモノヲ考慮シ得ルヤ
例ヘバ芸術、学術及其ノ教授ノ自由(独一四二)
経済上ノ自由(独一五一) 職業ノ自由(二〇〇条)
契約ノ自由 (独一五二)
労働ニ関スル保護(独一五七以下)
(第十九条)○「文武官」ヲ「官吏」ト改ムベキヤ
○公民トシテ男女平等ノ原則ヲ掲グルコトモ考ヘラル(米増補一九条一節独一〇九)
(第二十条)○削除スベキヤ
○「兵役義務」ノ代リニ「国土防衛ノ名誉ヲ有ス」トイフガ如キ思想ヲ以テオキカフルコト(旧露二八、露一九)モ考ヘラル
(第二十二条)○営業自由ノ規定ヲ設クベキヤ(憲法義解、旧独三条一項二項独一一一条旧露三四)
(第二十八条)○神社問題ニ関シ問題アリ之ガ解決策トシテハ神社ヨリ完全ニ宗教的性格ヲ払拭スルカ神社行政ヲ宮内省ノ所管ニ移シ賢所、皇霊殿、八神殿ト同ジク皇室ノ祭祀トシ宗教トシテモ皇室ノ御宗教トシ国家制度トシテ特別ノ地位ヲ与ヘズ国民ノ欲スル所ニ従ツテ之ヲ尊崇スルコトトシ全ク国民ノ皇室ニ対スル敬愛ニ任ズルコトガ考ヘラル
○伊太利憲法第一条ニ於ケル羅馬正教旧プ憲法一三条ニ於ケル基督教ニ於ケル如ク信教ノ自由ヲ害セザル限度ニ於テ神社ニ対シ特定ノ地位ヲ規定スルコトモ考ヘラル。
(第三十一条)○本条ハ第十四条ノ戒厳、第八条ノ緊急勅令等ト相関聯シテ研究セラルベキモノニシテ非常事態ニ対スル非常措置ノ方途ハ何等カノ形ニ於テ残スベキモノナルモ憲法ノ根本原則ヲ根底的ニ覆ガヘス虞アルガ如キ強大ナル独裁権制度ハ其ノ存置ニ付検討ヲ要スベシ
○則チ非常事態ニ対応スル為ニハ第八条ト第十四条ト存スレバ本条ノ如キ規定ハ臣民ノ権利利益ヲ根底的ニ動カシ得ルノ弊アルヲ以テ之ヲ削除スルヲ可トスベシトイフ論モ成立ツベシ(但シ第十四条ノ存在ソノモノモ今回検討セラルベキモノナラン、然ラバ第十四条ト本条トハ合体シテ寧ロ第十四条的意味則チ治安確保ヲ限度トスル趣旨ニ於テ第三十一条ヲ改正スルコトモ考ヘ得ラルベシ)
○本条中「戦時又ハ国家事変ノ場合」ヲ「非常事態発生ノ場合ニ於テ」トイフガ如ク文字ヲ改定スベキヤ
(第三十二条)○削除スベキヤ


第三章帝国議会



佐藤達稿

第三章 帝国議会

一、一院制ノ問題
二、帝国議会ノ権限―大権事項ト関連アリ
三、貴族院
イ 名称
ロ 組織ハ法律ヲ以テ定ムベキカ
ハ 組織ノ実体
皇族議員、華族議員ノ問題
公選主義ノ問題
ニ 権限
(上級官吏ノ任命)条約批准等ニ付テノ権限ノ問題
(枢密院ノ機能ヲ合併スルコトノ問題)
四、議会ノ召集、開会等
議会ノ活動ニ付テノ自主性ノ問題
五、通常会ノ会期
期間延長ノ問題
常置委員会ノ問題


第三章帝国議会ニ付テ考フベキ諸問題



宮内稿

第三章帝国議会ニ付テ考フベキ諸問題

(一)第三十三条ニ付 両院ノ名称――上院、下院、第一院、第二院等。
(二)第三十四条ニ付 (1)貴族院ノ組織ハ法律ヲ以テ定ムルヲ妥当トスベシ。
(2)構成分子ハ選挙ニ依ル任期附ノ議員トシ職能代表其ノ他制限選挙ニ依ルモノタラシムルヲ可トスベシ。延テ職能団体組織ニ関スル法律ノ根拠ヲ要スベシ。凡テ法律ヲ以テ規定ス。現在ノ如キ貴族院ハ之ヲ抹殺ス。
(三)第三十五条ニ付 選挙法ノ内大綱ヲ憲法ニ引上グベシ。例ヘバ選挙権、被選挙権、普通選挙等ノ如シ。
(四)帝国議会ニハ両院共総会ノ外理事会ヲ設クル旨ヲ規定スベシ。
(1)総会ハ常会及臨時会ニ分ツ。
(a)常会ハ (イ)特ニ召集ノ行為ヲ俟タズシテ毎年一定ノ暦日ニ当然集合スルコトトス。(第四十一条)
(ロ)会期ハ現在通三月ニテ可ナリ。(第四十二条)但シ其ノ延長ハ勅命ノ外議会ニモ天皇ニ対シ其ノ請求ヲ為スノ権ヲ与フルコトトス。
(b)臨時会ハ (イ)臨時緊急ノ必要アルトキ天皇之ヲ召集ス。
(ロ)両院理事会ハ臨時会ノ招集ヲ天皇ニ請求スルコトヲ得ルモノトスベシ。
(ハ)臨時会ノ会期ヲ定ムルハ総会ノ会期延長ノ例ニ準ズ。
(2)議会閉会中ニ於テ両院ノ権限ヲ代行スル機関トシテ各院ニ理事会ヲ置ク。(緊急勅令制度ハ廃止シテ可ナルベシ。)
理事会ノ会長ハ議長、副会長ハ副議長、委員ハ法律ノ定ムル所ニ依リ各院ニ於テ其ノ議員中ヨリ法定数ヲ選挙ス。
衆議院解散セラレ又ハ貴族院(仮称)ノ総議員ノ任期満了シタル後新ナル理事会ノ成立スルニ至ル迄ノ間ニ於テハ旧理事会ガ引続キ其ノ職務ヲ代行スルコトトス。
(備考)
理事会ノ組織等ニ関連シテ政党ヲ法制化スルノ能否モ一ノ問題ナルベシ。
(五) 第三十七条ニ付 議会ノ権限ヲ制限スル場合ハ特ニ別条ニ掲グルコトトシ此等例外ノ場合ヲ除クノ外国務ニ関スル天皇ノ統治権ノ行使ニハ凡ベテ両院ノ総会ノ議決ヲ経ルヲ要スル旨ヲ規定シ法律ニ依リ理事会ノ議決ニ委任セラレタル事項ハ理事会、又勅令ニ委任セラレタル事項ハ政府ノ各専決ヲ以テ足ル旨ヲ規定スルコトトス。

第四章ニ付考フベキ問題(題名ヲ改ムルコトト為ル。)
(1)行政各部ノ官制中主要ナルモノ(例ヘバ中央行政組織即内閣及各省ハ凡ベテ帝国議会ノ議決ヲ経テ天皇之ヲ定ムルコトトスルコト。
(2)内閣総理大臣ハ帝国議会ニ於テ其ノ候補者一定数ヲ選挙シ其ノ奏請ニ基キ右候補者ノ中ニ就キ天皇之ヲ任命スルコトトスルハ如何。
(3)国務大臣ノ責任ニ付テハ帝国議会ニ対シテモ之ヲ負フコトヲ明規ス。
(4)帝国議会ノ決議ニ依リ国務大臣ノ罷免ヲ天皇ニ奏請シ得ルコトトシ且国務大臣ニ対スル制裁トシテ法律ノ定ムル所ニ依リ其ノ就官能力等ノ公権ヲ停止スルコトヲ得ルノ制度ヲ置クベシ。
(5)枢密院制度ハ之ヲ廃止スルコト。
第七章補則ニ付考フベキ事項
(一)改正手続 帝国議会ヨリモ天皇ニ改正ヲ奏請スルノ権ヲ認ムルノ方途ヲ工夫シテ可ナリ。
(二)典範中若干ノ条項ハ之ヲ憲法ニ移スベシ。


帝国議会ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第三章)


帝国議会ニ関シ改正ヲ要スト認メラルル諸点(第三章) (入江稿)

一 帝国議会ノ権限ヲ一切ノ国務ニ及ビ得ル如クス
二 貴族院ノ構成及権限ノ改正
権限縮少ハ議院法上ニテ可能ナリヤ―不可能
三 会期ノ改正
四 帝国議会側ヨリスル召集開会等ノ要求権


第四章国務大臣及枢密顧問


第四章 国務大臣及枢密顧問 佐藤稿

一、国務大臣
イ 国務大臣ノ選任
内閣総理大臣ノ選任ト民意トノ関連ノ問題
ロ 国務大臣ノ責任
議会ニ対スル責任ノ問題
大臣訴追ノ問題
二、枢密院
同院廃止ノ問題
同院ノ性格ノ改変ノ問題
議会ノ常置委員会的性格トスベキカ


司法(第五章)


司法 (第五章) 入江稿

一 特別裁判所ノ存廃
(第五十七条以下ニテ足ル)
六十条削除


憲法改正ニ付研究問題


憲法改正ニ付研究問題 (今枝)

◎本案ハ故ラニ問題ヲ拾フノ趣旨ヲ以テ列記セルモノニシテ筆者自ラ列記ノ総テヲ必ズシモ妥当ト考フルモノニアラズ。例ヘバ(一)、(五)、(六)、(八)及補遺ニ掲グルモノノ如キハ其ノ傾向ノ殊ニ強キモノナリ

(一)第五十九条但書(対審判決ノ公開停止)
○公開ヲ停ムルコトヲ得ル場合ヲ更ニ限定スベキカ
○公開ヲ停ムルハ常ニ法律ニ依ルベキモノトスベキカ、即チ裁判所ノ決議ニ依ル場合ヲ削除スベキカ

(二)第六十条(特別裁判所)
○本規定ハ削除スベキカ、軍法会議、領事裁判制度ハ孰レモ消滅スベク、外地裁判所ヲ仮ニ特別裁判所ト考フルモ之亦消滅ノ運命ニ在リ

(三)第六十一条(行政裁判所)
○「違法処分」ナル要件ヲ緩和スベキカ

(四)第六十四条第二項(予算超過支出及予算外支出)
○支出条件ヲ厳格ニスルコトヲ考慮スベキカ、例ヘバ議会ノ常置委員会ノ如キニ附議スルコトヲ要スルモノトスルガ如シ

(五)第六十六条(皇室経費)
○毎年帝国議会ノ協賛ヲ要スルモノトスベキカ

(六)第六十七条(既定費及義務費)
○既定費ノ部分ノ削除ヲ考慮スベキカ

(七)第六十九条(予備費)
○第六十四条トノ関聯ニ於テ考慮スベキモノ

(八)第七十条(財政上緊急処分)
○本条ノ如キ制度ヲ有セザル立法例相当存スルガ如シ 削除等ニ付考究ノ余地ナキカ

(九)第七十一条(前年度予算施行権)
○予算ノ成立ニ到ラザル場合ニ於テ政府ノ支出シ得ル費途ヲ憲法上法定スルガ如キ制度ヲ考慮スベキカ

(十)第七十二条(会計検査院)
○会計検査院ハ議会附属ノ機関トスルコトヲ考慮スベキカ

(補遺)陪審制度ヲ憲法上ノ制度トスベキカ


会計(第六章)


会計(第六章) 入江稿

一、予算ノ発案権 六十四条
予算ノ修正権
右外国立法例如何


第七章補則



佐藤達

第七章 補則

改正発議権ノ問題
議会修正議決権ノ問題
典範改正ノ帝国議会付議ノ問題
典範ノ内容ノ一部ヲ憲法ノ規定ニ転移スルノ問題トモ関聯アルベシ
補則(第七章)
一 憲法改正手続ノ再検討(七十三条 七十五条消除)
二 皇室典範ト憲法トノ関係
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